はじめに
前回はテストについて学びました。

今回はアプリを実機にインストールしていきます。
Flutterで開発したアプリをiOSの実機にインストールするには、少し特別な手順が必要です。シミュレーターで動かすのは簡単ですが、実際のデバイスで動作を確認するには、iOS固有の設定やビルド方法が関わってきます。
この記事では、FlutterアプリをiOS実機にインストールする方法を学びます。また、アプリのアイコン設定やビルド手順も解説していきます。初心者の方でもわかりやすいように、ステップバイステップで説明しますので、一緒に進めていきましょう!
アプリを実機にインストールする準備
まず、FlutterアプリをiOS実機にインストールするために必要なツールと設定を確認します。
必要なツール
- MacOS:iOS用にFlutterアプリをビルドするためには、MacOSが必要です。
- Xcode:iOSアプリをビルドし、実機にインストールするためにXcodeをインストールしておく必要があります。最新バージョンをMacのApp Storeからインストールしてください。
- Apple Developerアカウント:実機にアプリをインストールするには、Appleのデベロッパープログラムにサインアップする必要があります。無料のアカウントでもテストはできますが、App Storeに公開するには有料のプランが必要です。
Xcodeの設定
- Xcodeのインストール:Mac App StoreからXcodeをダウンロードしてインストールします。
- Xcodeのセットアップ:インストール後、Xcodeを一度起動して、必要なコンポーネントをダウンロードしておきましょう。
iOS実機の接続
- 実機のiPhoneをMacに接続します。Xcodeで接続されているデバイスが認識されることを確認してください。
- XcodeのDevices and Simulatorsメニュー(
Shift + Command + 2
)を開いて、iPhoneが認識されているか確認します。
アプリアイコンの設定
Flutterアプリのデフォルトアイコンは、シンプルなFlutterロゴになっていますが、実際にアプリをリリースする際には、独自のアイコンを設定する必要があります。
Flutter Launcher Iconsパッケージのインストール
アイコンの設定を簡単に行うため、flutter_launcher_iconsパッケージを使用します。このパッケージを使うと、iOSとAndroidの両方でアイコンを一括設定することができます。
- pubspec.yamlに以下を追加します。
dependencies:
flutter_launcher_icons: ^0.13.1
flutter_launcher_icons:
android: true
ios: true
image_path: "assets/images/app_icon.png"
remove_alpha_ios: true
- アイコン画像を**assets/icon/**フォルダ内に追加します。この画像は、1024×1024ピクセル以上の正方形である必要があります。
- その後、以下のコマンドを実行してアイコンを生成します。
flutter pub run flutter_launcher_icons:main
アイコンの確認
アイコンの設定が成功した場合、iOSプロジェクト内のios/Runner/Assets.xcassets/AppIcon.appiconset
にアイコンが設定されます。Xcodeで確認できますが、もし変更が反映されていない場合は再度ビルドして確認しましょう。
アプリをiOS用にビルドする
Flutterアプリを実機で動かすためには、iOS用にアプリをビルドする必要があります。
iOS用にビルドする
iOS向けにFlutterアプリをビルドするには、以下のコマンドを実行します。
flutter build ios
このコマンドは、Xcodeを使用してiOSアプリをビルドします。このプロセスには、すべての依存関係の解決と、必要な設定ファイル(Xcodeプロジェクトの生成など)が含まれます。
ビルドに関する注意点
- プロビジョニングプロファイル:初回のビルド時には、Apple Developerアカウントにサインインし、プロビジョニングプロファイルの設定が必要です。Xcodeを使ってプロジェクトを開き、ターゲットデバイスに合わせたプロファイルを設定します。
- ビルド時間:初めてビルドする場合、かなりの時間がかかることがあります。特に依存関係のダウンロードや設定に時間がかかります。
実機でアプリを確認する
ビルドが完了したら、iPhoneにアプリをインストールして実行します。以下のステップで進めます。
Xcodeで実機にデプロイする
flutter build ios
コマンドを実行した後、ios/Runner.xcworkspace
ファイルをXcodeで開きます。Runner > Signing&Capabilities
を開きTeam
とBundle Identifier
を修正します。Bundle Identifier
は初期設定ではエラーとなるので変更しておきましょう。

- ターゲットデバイスとして接続されているiPhoneを選択します。
- 実行ボタン(
Run
ボタン)を押して、iPhone上でアプリを実行します。
実機での動作確認
iPhoneにアプリがインストールされると、自動的に起動します。デバイスでアプリの動作を確認しましょう。
もしインストールできない場合は、iPhoneのdeveloperモードをonにしましょう。
デバッグモードとリリースモード
iOSアプリを実機にインストールする際、デバッグモードとリリースモードの違いがあります。
デバッグモード
デバッグモードでは、ホットリロードやデバッグツールが使用可能です。開発中のアプリを素早く試す場合に便利ですが、最適化されていないため、パフォーマンスが劣ることがあります。
リリースモード
リリースモードは、最適化されたバージョンのアプリをビルドします。App Storeに提出する前や、パフォーマンスを確認したい場合は、リリースモードでビルドします。
リリースモードでビルドするには、以下のコマンドを使います。
flutter build ios --release
実機にリリースする
Xcodeでアーカイブ
Xcodeを使ってアーカイブし、IPAファイルの生成またはTestFlightへのアップロードを行います。
ios/Runner.xcworkspace
をXcodeで開きます。Product > Archive
を選択してアーカイブを作成します。Distribute App
を選び、署名や配布方法を指定します(Ad HocやApp Storeなど)。
アプリの配布・インストール
- TestFlight: テスト用にTestFlightにアプリをアップロードして配布。
- Ad Hoc配布: 開発用に署名されたIPAファイルをiTunesやApple Configurator経由でインストール。
IPAファイルを使って実機にインストール
Distribute App
でAppStore
に直接アップロードしなかった場合、IPAファイルを作成したと思います。
xcodeを開き、window > Devices&Simulators
をクリックし、+ボタンからIPAファイルを追加することで実機にインストールできます。
まとめ
この記事では、FlutterアプリをiOS実機にインストールする手順を紹介しました。アイコンの設定から、iOS用のビルド、実機へのデプロイまで、初心者でも簡単にできるように解説しました。
この記事のポイント
- XcodeとiPhoneの設定を確認して、実機に接続。
- flutter_launcher_iconsを使って簡単にアプリアイコンを設定。
- flutter build iosコマンドを使って、iOS用にアプリをビルド。
- Xcodeを使って実機にデプロイし、アプリの動作を確認。
第1回から第8回を通して、アプリの作成~ビルドまでを行ってきました。
今後は便利ツールや個々のライブラリについて深掘りしていきたいと思います。
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